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シティポップ・アイドルソング107選|1980年代から2020年代まで一挙公開

シティポップ・アイドルソング99選|1980年代から2020年代まで一挙公開

シティポップっぽいアイドルソングが聴きたい!と思っていませんか?

今回はポップスマニアの私が、シティポップ・テイストのアイドルソングを1980年代から2020年代まで各年代ごとに厳選して紹介します。

すべて読めば間違いなくアイドル・シティポップ通になれます。

※トータルで107曲もあるので、ブックマーク登録して読むのがおすすめです。

1980年代のシティポップ・アイドルソング

1980年代のアイドル・シティポップから紹介していきましょう。

小麦色のマーメイド|松田聖子

作詞:松本隆・作曲:呉田軽穂(ユーミン)で作り上げたアイドル・シティポップのマスターピース。

楽曲・歌詞・ボーカルとすべてが高水準です。

プールサイドのゆるやかに流れる時間をスケッチし、サビに入った瞬間、分数コードで常夏色の風にふわりと乗せてくれます。

「わたし 裸足のマーメイド」の歌詞が変だという意見をときどき見聞きしますが、曲の世界観のなかでは筋が通っています。
そのあとの「嫌い あなたが大好きなの/嘘よ 本気よ」につながる心理表現なのです。

素敵な気持ち|岩崎宏美

筒美京平の隠れた名曲。編曲を務めた萩田光雄の職人技も光っています。

同じフォームで度数を上げていく松下誠のギターリフが印象的。

歌メロに入ってからかすかにバックで「ファンファン」と聞こえるシンセの音も、なぜこんな細工をしたのか謎めいていておもしろい。

このあと、岩崎宏美は1988年にAOR歌謡の傑作アルバム「Me too」を発表。そのころにはすでに脱アイドルを果たしていました。

Second Nature|河合奈保子

デイヴィッド・フォスターがプロデュースを務めた1984年のLAレコーディング作品「DAYDREAM COAST」から。

ジェフとマイクのポーカロ兄弟やマイケル・ランドウらウエストコースト勢によるドライかつ音圧高めの演奏に、河合奈保子のエアリーなボーカルが心地よく乗っています。

そよ風のエアメール|石川秀美 

作曲:林哲司によるシティ・ポップど真ん中の曲。

ブリージーなギターカッティングからスタートするイントロがたまらない。

どことなく、松田聖子の「小麦色のマーメイド」を意識したようにも。

空気になりたい|宇佐美ゆかり

作曲家・都志見隆の最高傑作。

椎名和夫の編曲もLAの乾いた空気を運んでくるかのよう。

海外でもまだ発掘されていない(?)アイドル・シティポップの隠れ名曲。

涙の形のイヤリング|中森明菜

作詞:康珍化・作曲:林哲司のコンビによるブルーグレイの色味を帯びたグルーヴィーな一曲。

ウィスパーボイスを巧みに操る中森明菜の歌が、みごとに夕方のムードを演出しています。

緑色のラグーン|早見優

早見優が1984年発表した9枚目のシングル「誘惑光線・クラッ!」のB面ソング。

作詞・松本隆、作曲・筒美京平の名コンビによるオリエンタルな雰囲気漂う楽曲に、大村雅朗の甘辛なアレンジも絶妙です。 

サビで聴けるウィスパーボイスのユニゾン・コーラスは早すぎる渋谷系とも。

早見優ではほかに、7枚目のアルバム「WOW!」に収録の「REMEMBER?」も秀逸なシティポップ・バラード。

ピンク・シャドウ|三田寛子

山下達郎もカバーしたブレッド & バターの湘南ブリージー・ソング。

松原正樹の編曲がパーカッシブなグルーヴを感じさせます。

哀しみのマンハッタン|川島なお美

川原伸司(平井夏美)主導で杉真理プロデュースによって製作された川島なお美の2ndアルバム「So Long」(1982年)から。

「So Long」といえば、収録曲の「バス・ストップでまちぶせ」のレコーディング中、川島なお美が雰囲気にまかれて涙が止まらなくなったエピソードが有名ですが、アルバム中盤を飾る「哀しみのマンハッタン」の存在感も格別。

杉真理もみずからコーラスで参加しています。

Congratulation|岩崎良美

作詞・康珍化、作曲・林哲司の「オメガトライブ・コンビ」による夜のプールサイドを描いた佳曲。

レイ・パーカーJr.の匂いも感じさせつつ、清涼感抜群のコーラスがちゃんと「トライアングル・サウンド」しています。

ジャンヌダルクになれそう|薬師丸ひろ子

竹内まりや、大貫妙子、南佳孝といったシティ・ポップの重鎮たちが楽曲提供した1984年発表のアルバム「古今集」から。

井上鑑の洗練度の高い構成に、薬師丸ひろ子の初々しいボーカルがなぜか調和している不思議な曲です。

Ocean side|菊池桃子

角松敏生、オメガトライブをデビューさせたトライアングル・プロダクションの藤田浩一がプロデュース。

そのせいか、音が角松、オメトラのいいとこどりになっています。

飾り気のない菊池桃子の歌が「飾りだらけのAORサウンド」と合わさると、バックトラックの装飾性が強調されます。

ディミニッシュの響きやコーラスがかなり鮮明に聞こえるのはそのせいでしょう。

Summer Beach|岡田有希子

岡田有希子本人が出演したグリコ・カフェゼリーのCM曲。

尾崎亜美の提供曲に松任谷正隆がメリハリの利いたアレンジを施しています。

一音一音、丁寧に置くように歌うユッコのボーカルも聴きどころ。

今日から恋人|森尾由美

小田裕一郎の提供曲に、萩田光雄のグルーヴィーな編曲が冴えます。

森尾由美の歌唱力こそ高くないものの、嬉々として歌う姿勢がにじみ出たボーカルも。

素直じゃなくって御免|小泉今日子

1985年発表の「FLAPPER」から。作詞・松本隆、作曲・林哲司による表題通り「フラッパー感」のある曲。

低音と松田聖子的なしゃくり上げを使い分けて歌うところに、小泉今日子ならではの表現力をのぞかせます。

ピンクのマニキュア|山瀬まみ

1986年発表の山瀬まみのデビューアルバムに収録された、松本隆・作詞、南佳孝・作曲、鈴木茂・編曲という豪華な一曲。

80年代アイドルの典型的な唱法をものにしていて、実は器用で歌唱力もあったのがうかがえます。

入江に帰るヨットのように|荻野目洋子

曲名が「入江に帰るヨットのように」で、編曲が入江純とおもしろいことになっている曲。

間を重視したイントロのブレイクはいかにも入江純らしいアイディアです。

オーシャンブリーズを感じさせるコーラスが心地いい。

Pretty In Pink|森丘祥子

ゲートリバーブのかかったドラムによる音圧の高さがウエストコーストを感じさせる曲。

和泉常寛の上質な楽曲にJIVEのコーラスも相性抜群です。

「パーティーに着飾って出たのに意中の彼が振り向かない」というバブリーなシチュエーションを背に描かれた「けなげ女子」の心境が時代を感じさせます。

そよ風のスクランブル|伊藤つかさ

スラップベースがバキバキに鳴るファンクなバックトラックに、あどけなさ全開のボーカルのギャップ。

サビのオーギュメントのメロウな響きもポイントです。

Splash Blue|森川美穂

森川美穂の4枚目のアルバム「1/2 Contrast」のオープニングを飾る曲。

小森田実の小刻みに動くコードワークに、ラテンのエッセンスを程よく入れた小林信吾の編曲が光っています。

松本伊代|土曜日のparty

ブロウモンキーズの匂いがするイントロにブラコンを加えたような新川博の編曲が、アイドルポップらしからぬ渋さを醸し出しています。

作曲はKAN。

Diamond Lights|中山美穂

レイパーカーJr.的なメロウ・グルーヴが見事な鳴海寛による名曲。

80年代後半の中山美穂作品を彩ったCINDYのコーラスも聴けます。

LAST TEEN|新田恵利

4枚目のアルバム「Image 〜イマージュ〜」に収録された和泉常寛による提供曲。

ワイドなシンセの音が響く優雅なトラックに新田恵利のボーカルがふわふわ浮いています。

引き潮|うしろ髪ひかれ隊

後藤次利のほか、ドラムに山木秀夫、土方隆行が参加したうしろ髪ひかれ隊の2ndアルバム「BAB」(1988年)から。

工藤静香のソロ曲で、後藤次利のシックなアレンジがボーカルにうまくハマっています。

風に抱かれて|内海和子

おニャン子クラブのラストアルバム「Circle」(1987年)に収められた内海和子のソロ曲にして代表作。

黒住憲五による提供曲だけあって、歌謡曲の匂いは薄く、うっすらラテンテイストな佳曲に仕上がっています。

Crazy Thing|河合その子

LA録音による6枚目のアルバム「Dancin' In The Light」(1989年)から。

音圧の強めなコーラスを背に淡々と歌う河合その子のボーカルにシティポップのスタンスが見え隠れします。

ファッシネイション|岡本舞子

海外で評価が高い山川恵津子全面プロデュースのアルバム「FASCINATION」の表題曲。

Aメロで少しトーンを落とす岡本舞子のボーカル表現は見事です。

これだけの表現力があったアイドルなのに、国内の評価が低いのが不思議でなりません。
桜吹雪クライマックス」とあわせて、今こそ味わって聴いてほしいアイドル・シティポップの一級品です。

スノー・パラダイス|国実百合

作曲:林哲司/編曲:山川恵津子のウインター・リゾートソング。

スタートからギターカッティングがメインに動き、次第にシンセと絡んで豪華になっていくアレンジの妙はさすがです。

Stormy Night|今井麻起子

MAYUMIによるメロウ・グルーヴの名曲。

シンクラヴィアに生演奏をかけ合わせた音作りに、80年代後半の松任谷正隆プロデュース作品の特徴が出ています。

さりげなくブルーノートを歌いこなす今井麻起子のボーカルは圧巻。

LET'S START AGAIN|本田美奈子.

LAレコーディングのブギーの傑作アルバム「OVERSEA」収録曲。

随所で聴ける微妙なビブラートから、本田美奈子.の表現意欲がうかがえます。

Single Woman|奥田圭子

ドラマ「こんな学園みたことない!」(1987年)のテーマ曲として制作された奥田圭子5枚目のシングル。作詞:松本隆/作曲:筒美京平のコンビでヒットチャートにかすりもしなかったため、筒美京平の隠れ名曲のひとつとなりました。

松本伊代の路線を引き継ぎ、より洗練させた鷺巣詩郎の編曲も聴きどころです。

サンセット・ロード|高橋玲子

1980年代前半に活動していた女子大生アイドルが残した数少ない曲のなかのひとつ。
和ブギー界隈のDJに人気の高い曲で、海外でも認知度が上がりつつあるようです。

作曲:濱田金吾/編曲:奥慶一という「シティポップになって当たり前」のコンビで制作されています。

Baby Me|Wink

Winkといえば「愛が止まらない」「Boys Don't Cry」といったユーロビート・カバーのヒットで知られていますが、本作もホーリー・ナイトのカバー。

ファンク色の強い原曲に比べ、軽めのブギー仕様にしたアレンジが相田翔子のフワッとしたボーカルに調和しています。

プールサイド物語|伊藤麻衣子

現在はAIの研究者としても活躍する伊藤麻衣子の3rdアルバム「カレンダー」に収録。

オフコースのヤスさん(鈴木康博)によるスタティックな曲に、松下誠の編曲によってフュージョン的エッセンスが加えられています。

すき、ときどき きらい|八木さおり

1987年発表の2ndアルバム「Moon & Love」に収録された安全地帯の武沢豊による提供曲。

「感情の揺れ」を表すようにコードがあっちへこっちへ動くイントロに、編曲家・船山基紀の手腕がうかがえます。

TOMORROW|佐野量子

プログラミング主体ながら単音ギターカッティングがシティポップな佐野量子の代表曲。

この楽曲を発表した1988年当時、テレビ番組「スーパージョッキー」で歌う動画がYouTubeにありましたが、まだこの頃はリアルなスーパージョッキーとは結婚していません。

なお、作編曲を手掛けたのは声優・牧野由依の父・牧野信博です。

夏の予感|島田奈美

雑誌「Momoco」で西村知美、杉浦幸とともに活動したことから「桃組3人娘」と呼ばれた元アイドル・島田奈美。

13枚目に出したシングル「愛を走らせて」のカップリングだったこの曲「夏の予感」は、入江純の編曲によるコーラスのシャワーが涼しげ。

なお、島田奈美はこのあとアイドルを引退、「島田奈央子」として活動を開始します。

ホリデイ・ビジター|渡辺満里奈

1stアルバム「MARINA」(1987年)から。

シティポップの宝庫ともいえる渡辺満里奈の楽曲群から一曲をセレクトするのは難しいのですが、ここでは新川博の編曲によるグルーヴィーなこの曲を推しておきましょう。

ブラスを含めた各楽器が活き活きと鳴っています。

雨色時計店|斉藤由貴

全作編曲を崎谷健次郎が務めた8枚目のアルバム「âge(アージュ)」(1989年)から。

崎谷節が全開の曲を淡々と歌う斉藤由貴のボーカルは、すでにして堂に入っています。

DANCING STRANGERS|斉藤さおり

1993年以降「麻倉あきら」に改名した斉藤さおりの1stアルバム「Kiss me, Good Bye」(1986年)から。

作詞を亜蘭知子、編曲を芳野藤丸が手掛けただけあって、クールなアーバンナイト・ファンクに仕上がっています。

夕映えのシルエット|姫乃樹リカ

「モモコクラブ」の桃組出席番号1773番だったアイドル・姫乃樹リカの1stアルバム「Fairy Tale」(1988年)の収録曲。

今となっては「80年代」とひとくくりにされがちですが、80年代の音楽でも前半と後半では趣が異なっていました。

「夕映えのシルエット」は、1988年にしては曲調が80年代前半っぽい。
河合奈保子の「夏のヒロイン」(1982年)を思わせるラテン風味の効いたシティ・ポップに仕上がっています。

その後の姫乃樹リカは、1992年に「西邑理香」に改名して脱アイドルをはかったのち、「西邑理香 with COMING SOON!」を結成。

LAレコーディングでデイヴィッド・T・ウォーカーのギターをフィーチャーしたシティ・ポップの隠れ名曲「時計を捨てて」を残しています。

近年は芸名を「姫乃樹リカ」に戻して活動している様子。

MOON SHOOTER|宮沢りえ

2ndアルバム「チポップ( Chepop)」(1990年)に収録の岩田雅之(元PAZZ)による提供曲。

LAのミュージシャンらのクールな演奏をバックに聞かせるウィスパーとも歌い上げともつかない歌が魅力的です。

1990年代のシティポップ・アイドルソング

次に1990年代のアイドル・シティポップを紹介します。

No Make Up|BaBe

斉藤さおりと一緒に「斉藤さおり&ハートブレイカーズ」として活動していた「ハートブレイカーズ」の2人で結成したアイドルユニット「BaBe」。

LA録音した4枚目のアルバム「CONTRAST」(1990年)からバックビートなファンクを味わいましょう。

魔の刻|浅香唯

浅香唯の13枚目のアルバム「joker」(1992年)から広谷順子作曲によるシックな作品を。

ここでの浅香唯は、それまでのはつらつとしたボーカルスタイルを封じてスロウグルーヴにあわせてウィスパーボイスを聴かせます。

星のステーション|広石恵子

フジテレビ土曜の深夜番組「オールナイトフジ」で結成されたグループ「A-CUPS」のメンバー・広石恵子のソロ作「ALL WEATHER LOVE」(1990年)より。

アルバム全体にシティ・ポップ/AOR歌謡色が強く、なかでもギターカッティングの存在感が強いこの曲は出色です。

Only X'mas Night|福岡文

1991年、「Do You Wanna Do?」(作曲:都志見隆)でデビューしたアイドル歌手の1stアルバム「W-FACE」(同年リリース)から。

ギターカッティングにシンセが随所に入るアレンジは鳥山雄司によるもので、クレジットはないものの、ギターも鳥山が弾いていると思われます。

Kissが届かない|松本典子

MAYUMI提供のグルーヴィーな曲。

松本典子の衒いのないボーカルも楽曲のよさをストレートに伝えています。

愛してJustice|ribbon

3rdアルバム「Jessica」(1991年)に収録された「ギターカッティングは正義」な一曲。

Winkや田中友紀子らに楽曲提供をしている尾関昌也による盛り上げ過ぎない曲構成によって、スタティックな雰囲気を作り上げています。

はんぶん不思議|CoCo

CoCoの2ndシングルにして代表曲。

有賀啓雄が編曲を務めたため、AORテイストが強めに出ています。

サビ前で聴ける三浦理恵子の「あなた意地悪」がクセになる。

JIVE JIVEでロンリーNight|西野妙子

90年代後半に小室哲哉プロデュースのユニット「dos」のtaecoとして活躍する前に西野妙子名義でリリースしたアルバム「FLOWER GROOVE」(1991年)から。

山口美央子提供によるフェミニンな曲に、有賀啓雄のアーバンナイト感あふれるアレンジがばっちりハマっています。

ただ、この時代のポップスは音が痩せているのが残念。

SEVEN BOWS〜休日の虹たち〜|東京パフォーマンスドール

「研修生制度」や「姉妹グループ展開」などのちのアイドルグループに受け継がれるアイディアを生み出した東京パフォーマンスドール。

「SEVEN ON SEVEN 〜Cha-DANCE Party Vol.7」収録のこの曲はChokkakuが編曲を担当したため、ギターのグルーヴが強めに出ています。

サビのディミニッシュが爽快。

Don't Stop City Light|米光美保

1stアルバム「MIHO from Tokyo Performance Doll」(1993年)に収録されたChokkakuによる提供曲。

レイパーカーJr.的アーバンブラックコンテンポラリーな音色が効いています。

サヨナラにKissを|木原さとみ

3rdシングル「NIGHT RAIN」(1991年)のカップリング曲。

イントロからアウトロまで山川恵津子の編曲が完璧で、メロウ&スイートなムードを演出しています。

ハッピーバースディカウントダウン|Qlair

ギルバート・オサリバンの代表曲から名付けられたアイドルグループ「Qlair(クレア)」。

山口美央子やMAYUMI、木戸やすひろ夫妻が楽曲提供し、山川恵津子が編曲に携わったため、シティポップ好きには長らく注目されていたグループです。

この「ハッピーバースディカウントダウン」は安部恭弘の提供曲。

Splendid Love|Lip's

3人組アイドル「Lip's」の2ndシングル(1990年)。グループの要となる歌唱力をもっていた山本京子は、のちにソロで「INSENSITIVE」という名盤を発表しています。

「Splendid Love」は編曲家・清水信之がキーボードだけでなくギターも演奏。

トラックの骨組みをほぼひとりで作っているため、DTMを先駆けた音になっています。

安部恭弘と和田夏代子がコーラスで参加しているのも貴重。

土曜の夜にRainbow|瀬能あづさ

1stアルバム「Crystal Eyes」(1992年)に収録。

ブラスを効果的に使ったメロウグルーヴと、間奏のフュージョン的に展開するピアノソロが聴きどころです。

いちばんの友達|永作博美

1stアルバム「N」(1993年)から。

亜蘭知子へリゾートソングを提供している清岡千穂の曲だけあって、ブリージーな仕上がりです。

神様からもらったチャンス|三浦理恵子

都志見隆作曲のクリシェを使ったコード進行がメロウな作品。

三浦理恵子のフェアリーボイスをコーラスでも重ねたのがドリーミーな雰囲気に拍車をかけます。

編曲は渡辺格、コーラスアレンジはその妻の菅井エリ(ERI)

夏の約束|高橋由美子

2ndアルバム「PEACE!」(1991年)に収録の松原みきによる提供曲。

ULTIMAX(松井 寛)のスムースジャズに寄った編曲によって高橋由美子が歌いにくそうにしているのが気になりますが、松原みきの林哲司ゆずりともいうべきブルーグレイな色彩感のある曲は味わい深い。

HAPPY EVER AFTER|西田ひかる

斉藤ノブ・プロデュースによる7枚目のアルバム「Love Always」(1994年)の収録曲。

山口美央子の提供曲のなかでも上位3位以内に入るクオリティで、小林信吾のスイングアウトシスター「Waiting Game」を狙ったかのような緩急をつけたアレンジもあいまって90年代屈指のシティポップに仕上がっています。

大好き!|観月ありさ

4枚目のアルバム「CUTE」(1995年)のオープニングを飾る作品。

作編曲を松井寛が担当。シンセのスリリングな動きが海へ向かう車窓からの風景を描いています。

WALKIN'DOWN THE LOVE|かとうれいこ

渋谷系の面々を製作陣に迎えて作られた7枚目のアルバム「itch」(1995年)収録の鈴木智文(ポータブルロック)による提供曲。

楽曲のコードの動きをニュートラルなボーカルでなぞっているのが爽快です。

波風を立てよう!|菅野美穂

唯一のオリジナルアルバム「HAPPY ICECREAM」(1995年)から。

さりげなくドゥ―ビー・ブラザーズ「What a Fool Believes」的なウエストコーストサウンドを取り入れた編曲は、90年代中盤には遅すぎたのか早すぎたのか、いまひとつ受けがよくなったようです。

ハッピー・ラッキー・デイ|遠藤久美子

エンクミこと遠藤久美子の2ndシングル(1998年)。

1998年当時としては、こうしたシティポップに振り切った曲はかなり異色でした。

シーサイドのウキウキ気分をみごとに描いています。

エスカレーション|ともさかりえ

1996年にリリースされたともさかりえの歌手デビュー曲。

イントロのローファイな音づくりが渋谷系っぽく、70年代テイストも強いものの、M.Rie(河合奈保子のバックを務めた「MILK」の宮島理恵)の提供曲だけあって、グッとくるコードと歌メロの取り合わせは絶妙です。

同じM.Rieがともさかりえに提供した曲では、2ndアルバム「むらさき。」収録の「Good for us!」も捨てがたい。

イージーライダー|深田恭子

「きょうこりん姫」時代(1999年)の深田恭子がスマッシュヒットさせたディスコブギー×バンドサウンドなシティポップ。

プレイグスの深沼元昭が作編曲を担当しています。

2000~2010年代のシティポップ・アイドルソング

つづいて、2000年代~2010年代のアイドル・シティポップを紹介します。

Waiting for U|SweetS

瀧本美織が在籍したエイベックス所属のアイドルグループ「SweetS」の9枚目のマキシシングル「on the way 〜約束の場所へ〜」(2005年)に収録。

楽曲、アレンジともに非の打ちどころのない2000年代屈指のアイドル・シティポップです。

Dear my teacher(チームK Ver.)|AKB48

数あるAKB48作品のなかで最もシティ・ポップ度が高い曲といったらコレではないでしょうか。

サビの筒美京平を感じさせる歌メロが印象に残ります。

Boogie Aroma|Especia

2010年代前半のアイドル・シティポップのトップに君臨していたグループ・Especiaの代表曲のひとつ。

80年代ブギー/シティポップの良質なエッセンスだけを抽出して再現したトラックメイカー・PellyColoの手腕はみごとです。

ワナダンス!|Tomato n' Pine

古川貴浩による提供曲。

マクファデン&ホワイトヘッドの「Ain't No Stoppin' Us Now」を引用したブギーなグルーヴに魅了されたマニアも多いようで。

あなたとPop With You!|Negicco

2010年代以降のアイドル・シティポップに多大な影響を与えたプロデューサー・connieによる楽曲。

カップリングの「トキメクMERMAID」とともに筒美京平オマージュと思われるサビの歌メロが印象的です。

くちづけキボンヌ|でんぱ組.inc

ボーイズ・タウン・ギャング「君の瞳に恋してる」×ポリス「見つめていたい」のようなイントロからスタートし、Aメロからうっすらドゥービー・ブラザーズの「What a Fool Believes」風のリフが入る。

ギミック満載の曲だと思ったら、作詞:かせきさいだぁ/作曲:木暮晋也という渋谷系コンビで納得。

じゃじゃ馬と呼ばないで|GALETTe

福岡県を拠点に活動していたアイドルグループ「GALETTe 」の代表曲(2014年)。

のちに別のグループ「転校少女*」によるバージョンも制作されました。

空をかける少女|保坂朱乃

GALETTeのメンバー・保坂朱乃のソロ作品。

筑田浩志によるライトなブギー仕様の曲だけでなく、南野陽子や原田知世を育てたプロデューサー・吉田格が作詞を手掛けているのもポイントです。

Kiss of Snow|TRICK8f

歌のうまさに定評があり、シティポップ・テイストの佳曲をいくつか発表していたTRICK8f(トリックエイト)が2012年にリリースしたウィンターソング。

今だったらもっと注目されていたでしょう。出てくる時期が早すぎたのです。

crazy for you|さいとうまりな

竹内まりやをリスペクトするアイドルシンガーの1stミニアルバム「はじまるふたり」(2014年)から。

清涼感のあるコーラスが80年代的、サウンドが90年代的なサマードライブ・ソングです。

Blue Ocean Fishing Cruise|つりビット

山下達郎「踊ろよ、フィッシュ」のカバーも話題になったアイドルグループの2ndアルバム「Blue Ocean Fishing Cruise」表題曲。

イントロのカッティングから鮮やかにスタート、ゴージャスな船旅をさせてくれます。

雨のスクリーン|はちきんガールズ

「雨のスクリーン」と聞いて熊谷幸子の曲かと思ったら、同名異曲。

シンプルなアレンジによって初夏~梅雨時の風景が浮かび上がります。

第4回アイドル楽曲大賞(2015年)では16位にランクインしました。

Dancing Again|STEREO JAPAN

「Stereo Tokyo」「Stereo Fukuoka」の2つを統合したグループの曲。

後半でEDM色が強くなるところ、現在のアイドル・シティポップを先駆けていました。

そよ風のKISS|エレクトリックリボン

エリボンの1stアルバム「YEAH!!!」(2016年)のハイライトとなる曲。

マスタリング上の問題でシンセとギターの音が分離気味に聴こえるものの、佳曲であることは間違いなし。

無重力ファンタジア|RYUTist

Ikkubaru(イックバル)の提供による2010年代アイドル・シティポップの名曲。

ウィスパーボイスによって無重力空間にいざなわれます。

恋なのかな?|WHY@DOLL

シティ・ポップ、渋谷系テイストの楽曲が多かったアイドルユニット「WHY@DOLL」の代表曲のひとつ。

イントロで小沢健二の「ぼくらが旅に出る理由」を引用(正しくはポール・サイモンの「You Can Call Me Al」の孫引き)しているのはなぜ?

作曲はONIGAWARAの2人。

真冬のTropical Night|Faint★Star

元「Tomato n' Pine」のHINAとYURIAによるユニットの5枚目のEPから。

シンセのサイン波が90年代的な響きを醸し出すイントロから、ブギーな展開へ。

MVもカラフルな幾何学模様がフラッシュを放ち、ディスコを連想させる映像になっています。

ライク・ア・ゾンビ|フィロソフィーのダンス

奇才・宮野弦士の手掛けた2010年代最高峰のアイドル・シティポップ。

全体にブルーノートスケールが組み込まれた楽曲構成、洗練されたアレンジ、マスタリングなど、どこをとっても冗長なところが見当たりません。

フィロのスの4人のボーカルバランスによって緩急をつけているのも素晴らしい。

SUMMER GIRL|WAY WAVE

歌唱力の高い姉妹アイドルユニットが、2018年にアナログレコード盤7インチ・シングルとしてリリースした曲。

プロデュースを関美彦が手掛け、カラッとしたウエストコーストサウンドが再現されています。

流線形や青野りえのサポートで活躍するギター・山之内俊夫、ベース・伊賀航、ドラム・北山ゆう子らによるグルーヴも極上。

ホログラフィック・デート|CROWN POP

スターダストプロモーション所属のアイドルグループのアルバム「LIFE」から。

ギターカッティングを中心に作られたグルーヴにシンセでキラキラした飾りつけがされています。

彼女のサーブ&レシーブ|Racket Love

現在は略称の「カノサレ」に改名しているアイドルユニットが2018年にリリースしたアナログ盤シングルのカップリング曲。

Ikkubaruの提供曲だけあって、メロウな味付けが効いています。

シングルTONEでお願い|私立恵比寿中学

複数のミュージシャンをプロデューサーに起用した2019年リリースのアルバム「playlist」の収録曲。

プロデュースはポセイドン・石川。
ヤマタツ的Tripping Outなリズム、ヤマタツ声帯模倣コーラスをバックに、エビ中のケレン味ゼロのストレートな歌声が映えます。

土曜日のフライト|Wake Up Girls!

アニメ「Wake Up,Girls!」に合わせて結成された声優7人によるグループのアルバム「Wake Up, Best!MEMORIAL」(2019年)に収録。

「What a Fool Believes」スタイルにバイオリンを入れる田中秀和の手法は、80年代初頭の日本の編曲家たちを思わせます。

FRIEND IN NEED|脇田もなり

Especia脱退後の脇田もなりがアナログレコード盤でリリースした7枚目のシングルのカップリング曲。

Shunské G & The Peasなどのバンドで活動するベーシスト・越智俊介のスラップベースに乗せ、グループ時代に鍛えた歌唱力を聴かせてくれます。

SWEET PAIN|HALLCA

Especia解散後、シンガーソングライターとして活動を開始したHALLCA(冨永悠香)の2ndアルバム「PARADISE GATE」から。

メンター・PellyColoから学んだセンスをスイートシャワー状に降らせるバスルーム・ソング。

2020年代のシティポップ・アイドルソング

最後に2020年代のアイドル・シティポップを紹介します。

ガールズトーク|東京女子流

2021年リリースの29枚目のシングル。

東京女子流は、松井寛や土方隆行が関わっていることからシティポップ・マニアには初期から注目されてましたが、2020年代に入ってからも楽曲・歌唱ともに進化し続けています。

上質な楽曲群のなかでも、バックビートを意識して作られたブギー「ガールズトーク」を推します。

ダンスはキスのように、キスはダンスのように|DEAR KISS

元GALETTeのメンバーらで2016年に結成されたグループ「DEAR KISS」の3rdシングル(2021年)。

東京女子流やフィロのスが体現したファンク寄りの音を継承したネオシティポップになっています。

彼と私の本棚|アイナ・ジ・エンド

2021年にリリースされたアイナ・ジ・エンドの自作ソロ曲。

山下達郎的なグルーヴィーかつポップな楽曲でありながら、「倉庫の本棚 次は一つだけ カフカ置いてみたいな」と素通りできない言葉が出てくるのがおもしろい。

蒼いヒマワリ|衛星とカラテア

スターレイプロダクション所属のアイドルグループ「衛星とカラテア」が2022年に配信した楽曲。

ファンキーなギターカッティングでスタートしたかと思ったら、ギターは後退しゆるめのリズムへと展開していきます。

Sun&Flower|PinkySpice

関東・関西を中心に活動するアイドルグループ「PinkySpice」が2022年にリリースした2ndシングルから。

エレピ、シンセが中心を担うグルーヴが心地いい。

旬をススメ|さよならステイチューン

2020年結成のアイドルグループのアルバム「ベストヒット☆STAYTUNED」(2022年)に収録された宮野弦士による楽曲。

緩やかにスタートし、間奏のタワー・オブ・パワーばりのブラスへもっていく構成には舌を巻くばかり。

SHOWER|武藤彩未

3rdミニアルバム「SHOWER」(2021年)の表題曲。

80年代のデレゲーションのようなロマンティックな音空間のなか、サビで深いリバーブのシャワーを浴びせられます。

えっちなこと|木下百花

元NMB48メンバー・木下百花の自作曲。

プロデューサー・奥田健介(NONA REEVES)のライトなブギーに仕立てたアレンジが秀逸です。

Back My Love|天野なつ

元「LinQ」のメンバー・ 天野なつの5thシングル「Twinkle Avenue」から。

元インスタントシトロンの松尾宗能によるシンプルにしてツボをおさえた曲と、くったくのないボーカルが見事に調和しています。

ファンファーレが聞こえる|メリーメリー♡ファンファーレ

今井美樹「雨にキッスの花束を」の歌メロやらクール&ザ・ギャングの「Celebration」やらが引用されたパーティー気分ソング。

ヒップホップグループ「絶対忘れるな」の志賀ラミーが手掛けています。

恋の後味|寺嶋由芙

寺嶋由芙15枚目のシングル「恋の後味」(2022年)の表題曲。

楽曲提供者・ジャンク フジヤマのもつシティポップへのリアリティと、いしわたり淳治の歌詞の描写力が結合して、風格すら感じさせます。

イントロでホミ&ジャービスの「I'm in Love again」を引用するというAORマニアを歓喜させる仕掛けがありながら、間奏のツインギターソロがジェイ・グレイドン/松原正樹的スケールを弾いていないのは残念。

曖昧Sentimental|文坂なの 

ソロアイドル・文坂なの4枚目のシングル「ハイファイ・スタイル」(2022年)に収録。

エレポップ×シティポップ的な音に今っぽくもあり、80年代っぽくもある歌い方のボーカルが絶妙に合っています。

Lucky Number|AMEFURASSHI

2ndアルバム「Drop」(2022年)に収録。

ニュー・エディションの「Mr. Telephone Man」めいたイントロでつかみ、うっすらサイン波を乗せたグルーヴでセンチメンタルな気分を煽ります。

空想トラベル|ukka

スターダストプロモーション所属の「ukka(ウッカ)」が2022年にリリースした配信シングル。

スラップベースとギターカッティングにかすかにEDM要素を入れ、疾走感を出しつつ踊れる音に仕上がっています。

How to Be Loved|ユレルランドスケープ

4人組アイドル「ユレルランドスケープ」が2022年に配信リリースした曲。

シティポップにオルタナの要素を交えた音が、Spangle call Lilli lineのような世界観を思わせます。

Out of the blue|乃木坂46

松原みき「真夜中のドア/Stay With Me」や竹内まりや「プラスティック・ラヴ」といった海外でブレイクしたシティ・ポップのエッセンスがAメロに詰め込まれています。

サビはマイケル・ジャクソンの「Rock With You」をかすめる展開に。

おわりに

今回は、シティポップ・テイストのアイドルソングを1980年代から2020年代まで各年代ごとに厳選して紹介しました。

気になる曲があればこのページをブックマークに追加して、あとでゆっくりお聴きください。

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kinuzure

人生の大半の時間を中古盤DIGについやしてきたポップスマニア。いまだに大人になれていないクリスタルな四十路男。【来歴】1980年代、幼少期にAORと歌謡曲を聴いて育つ。 海外のAORを数多く聴いていたものの、あるとき「AOR歌謡」を発見。強く惹かれる。【好物】レコード/古本/1980年代/生クリーム/コーヒー/ウィスパーボイス/ディミニッシュコードの響き

-プレイリスト