AOR大事典

用語集

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このページでは、AOR歌謡/シティ・ポップに付随する音楽ジャンルや音楽用語、80年代の流行語などを解説しています(随時追加)。

音楽ジャンル

当サイトでたびたび記述されている音楽ジャンルについての解説です。

AOR

70年代中盤から80年代初頭にかけて流行したポップスの日本での呼び名。

「大人向けのロック」を意味する。

ジャズやボサノバ、ソウルなどから、ウエストコースト・ロックやレゲエまでが含まれる。

海外では「アダルト・コンテンポラリー(AC)」と呼ばれる。

シティ・ポップ

70年代後半から80年代後半に作られた日本産のポップス。

洋楽からの影響が強く、「都市で生活すること」をうたった作品が多い。

黎明期には「シティー・ミュージック」「シティー・ポップス」などと呼ばれた。

「はっぴいえんど」から始まったとされる説、南佳孝のアルバム「忘れられた夏」(1976年)から始まったとされる説など、発祥には諸説ある。

フュージョン

1970年代中盤にジャズ出身のミュージシャンがジャズにロックやブラジル音楽などを掛け合わせて演奏したことから派生。

歌モノは「AOR」、歌が全面的に入っていないものを「フュージョン」と区別する。

「クロスオーバー」「スムースジャズ」ともほぼ同義。

和ブギー

1980年代のシティ・ポップやフュージョンのなかで「打ち込み」色の強い音楽。

和ブギーのガイドブックには、80年代の日本で作られた「ブギー/ファンク/モダンソウル/フュージョン/グルーヴの曲」と説明がある。

流行語

当サイトでたびたび記述されている流行語についての解説です。

クリスタル

田中康夫が1980年に発表した小説「なんとなく、クリスタル」に由来。

都会的でスタイリッシュな大人の生活に憧れつつも、心は無垢なままでいたいと思う80年代の若者の生き方・あり方を形容した言葉。

また、そのような若者を揶揄をこめて「クリスタル族」と呼んだ。

なんとなく、クリスタル

1980年、田中康夫が大学時代に執筆、第17回文藝賞を受賞した小説。

ファッションモデルとしても活動している女子大生の主人公・由利とミュージシャン(ギタリスト)・淳一の関係を中心として、当時の東京のトレンドをスケッチした。

AORやDCブランド、東京にあるレストランなどに関する固有名詞が頻出し、それらを欄外で説明した膨大な注釈の数も作品の特徴となっている。

なお、ジャズ・ミュージシャン菊地成孔は、淳一のモデルは河内淳一(元「KUWATA BAND」ギタリスト)であるとする説を唱えているが、作者・田中康夫はこれを「妄想」と否定している。

1981年に映画化され、映画版では作曲家・歌手の亀井登志夫が淳一役を演じた。

シャカタク (Shakatak) 

キーボーディストのビル・シャープを中心に結成されたイギリスのフュージョン・グループ。

1982年に「Night Birds」が世界的ヒットを記録した。

ややダサめなアレンジのセンスや過剰にメロディアスなところ、さわやかな女性コーラスなどが1980年代の日本で人気を博す。

テレビ朝日で放映されていた番組「トゥナイト」のテーマに「Night Birds」が使われたり、明石家さんま・大竹しのぶ主演のテレビドラマ「男女7人夏(秋)物語」のバックに流れたりしたことでも知られる。

なお、「日本のシャカタク」と呼ばれたグループに「カンガルー」「コスモス」などがいる。

エルボウ・ボーンズ&ザ・ラケッティアーズ

「大学で心理学を学び、卒業後はニューヨークのスタジオでエンジニアをしていたエルボウ・ボーンズという人物を中心に結成されたバンド」とされているものの、実はキッド・クレオールの異名をとるオーガスト・ダーネルの覆面バンド。

バンド名を日本語にすると「ひじの骨と詐欺師集団」。

1983年、「A Night In New York」がヒット。

日本のシティ・ポップ、AOR歌謡界隈をその独特なリズム、無駄にゴージャスなアレンジ、ふわふわしたコード感で魅了。

中原めいこ「魔法のカーペット」、山本達彦「MON AMOUR」、岩崎宏美「カサノバL」他、「A Night In New York」スタイルの楽曲が多数作られた。

音楽用語

当サイトでたびたび記述されている音楽用語についての解説です。

ブルーノート・スケール

メジャースケールの3番目、5番目、7番目の音をそれぞれフラット(半音下げ)にした音階。

19世紀後半、アメリカに奴隷として移住した黒人たちによって広まった。

ジャズやブルースで多用され、現在ではポップスでもよく使われている。

【近年のJ-POPでの使用が顕著な例】

ペダルポイント

和音が変わっても根音が変わらないことを意味する。

ピアノで手は鍵盤を移動させながらも、同じ位置のペダルを踏み続けるイメージ。

例えば、「C | D/C | Dm/C | C」といったコード進行では、和音は「C」から「D」へ全音移動しているのに根音は「C」のまま。

このときの「C」がペダルポイントになる。

  • この記事を書いた人

kinuzure

人生の大半の時間を中古盤DIGについやしてきたポップスマニア。いまだに大人になれていないクリスタルな四十路男。【来歴】1980年代、幼少期にAORと歌謡曲を聴いて育つ。 海外のAORを数多く聴いていたものの、あるとき「AOR歌謡」を発見。強く惹かれる。【好物】レコード/古本/1980年代/生クリーム/コーヒー/ウィスパーボイス/ディミニッシュコードの響き

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