「シティポップの隠れた名曲が知りたい!」と思っていませんか?
今回はポップスマニアの私が、「マニアでも知らない人がいるかもしれない曲」や、「シティポップ・ブームでも注目されなかった曲」を取り上げていきます。
シティポップの隠れた名曲32選
さっそくシティポップの隠れた名曲を紹介していきましょう。
Misty Hour/いわさきみゆき
元宝塚歌劇団花組の娘役・美雪花代が退団後に「いわさきみゆき」名義で発表したアルバム「スクランブル」(1984年)から「Misty Hour」を。
黒住憲五による提供曲のライトなグルーヴに乗せて、リラックスした歌声を披露。
とくに後半のウィスパーがかった語りかけのような歌唱に、ミュージカルの素養がチラリ見えます。
夏のSaxophone/近藤千鶴
ジャズボーカリストとしてデビューした近藤千鶴が、ポップスにフィールドを移して制作したアルバム「Route for the sea to Follow~海へたどりつくルート」(1993年)から「夏のSaxophone」を。
この作品、音大で声楽を学んだ経歴がある近藤千鶴のブレのないボーカルが味わえる一枚でした。が、売り上げは思わしくなく、現在、中古盤市場にもほとんど出回っていません。
なかでもこの「夏のSaxophone」は、シティポップらしいリズム、アシッドジャズの香り、ウィスパーボイスの絶妙な歌い加減と、聴きどころたっぷり。
参加ミュージシャンも盤石で、キーボードを小林信吾、ギターを松原正樹が弾いています。
なお、プロデュースは筒美京平とのコンビで多数のヒットを飛ばした作詞家・橋本淳が務めました。
本盤にも筒美作品が収録されています。
Why Don't You Dance?/AVECS
マンガ家・内田春菊を中心に活動していたバンド「AVECS(アベックス)」が1987年に発表したカセットテープの表題曲「Why Don't You Dance?」。
松原みき「真夜中のドア」に通ずるシティ・ポップの良質なエッセンスが感じられる曲ながら、一般的にはほとんど知られていない隠れ名曲のひとつです。
シティポップが世界を席巻した2020~2022年頃にもとうとう発見されませんでした。
自主制作盤の上に、記録媒体がカセットテープという点がレア度を高くしているのでしょう。
なお本作のレコーディングに参加したメンバーは以下の通り。
- ボーカル:内田春菊
- ドラム:大久保忠淳
- ベース:加藤英樹
- ギター:佐々木じょうじ
- キーボード:川野恵美
- トランペット:西岡弘之
なお、内田春菊はブラックミュージックが好きで、マンガ家になる前は歌やダンス(ディスコダンサー)の世界を目指していたとか。
中2のとき、地元長崎で開かれた「スター誕生!(日テレ)」の決戦にも残ったそうです(J-WAVE「TOKYO M.A.A.D SPIN」2023年11月21日)。
太陽の海岸/五十嵐麻利江
テノール歌手・五十嵐喜芳の娘にして現在はオペラ歌手として活躍する五十嵐麻利江の初期作品「デイドリーム」(1981年)からのピックアップ。
五十嵐麻利江がイタリア生まれのせいか、80年代の大貫妙子に通ずるヨーロピアンテイストのシティポップに仕上がっています。
ピアノ・羽田健太郎、ギター・芳野藤丸、ベース・岡沢章、サックス・ジェイク・コンセプションら参加ミュージシャンも豪華。
Aquarius/マキ奈尾美
音楽家兼画家・マキ奈尾美のデビュー作「Time,Time after time」(1986年)から「Aquarius」を。
イントロの転調が抜群に気持ちいい。
80年代の亜蘭知子をもっと技巧的にしたような歌が特徴的でしたが、その後こうしたテイストの作品は発表していません。
SHINING BOY/小幡洋子
アニメ「魔法のスターマジカルエミ」のエミの声を務め、主題歌も担当した声優・歌手の小幡洋子。
そんな小幡洋子が1985年に伊藤銀次をプロデューサーに迎え制作された「PEARL ISLAND(南国人魚姫)」収録の隠れた名曲をピックアップしてみました。
オープニングの「南国人魚姫」で潮風を感じさせたあとに続く2曲目「SHINING BOY」は、伊藤銀次らしい「ウキウキ」なグルーヴが際立つポップなサマーチューン。
小幡洋子のあけっぴろげなボーカルもウキウキ感に拍車をかけています。
雨上がりにDance/Cotton Time
ボーカル・長尾由起子を中心に結成されたシティポップ・バンドが、1998年にリリースした1stアルバム「Lost Season」から。
シティ・ポップ人気が下火になっていた90年代~2000年代。
この時期のシティ・ポップの名盤と言えば、PLATINUM 900の「Free (at last)」(1999年)や、流線形の「CITY MUSIC」(2003年)が挙げられます。
今やこれらの作品は大々的に紹介される機会も増えているため、ここではさほど知られていない90年代の名グループの作品に焦点を当てましょう。
シャッフルビートの「Good Luck」、スパニッシュボッサの「ほほ笑んで」、アーバンナイト・ポップ「蜃気楼」。
アルバム「Lost Season」には、こんなシティポップ好きが思わずニヤリとしてしまう曲ばかり収録されています。
その中でも出色なのが「雨上がりにDance」。
ラテンテイストのキーボードとパーカッションに、シンセとギターカッティングが絡むシンプルながら王道的なアレンジがなんともキャッチ―です。
流転 -Never stop flowing -/モーリン公美子
1989年から作品をリリース、シンガー・ソングライターのほか、CMソングやジングルの歌、コーラスでも活躍するモーリン公美子。
一般的な知名度は高くないものの、ソフトロック・グループ「スプリングス」に2代目ボーカリスト「KUMIKO "Maureen" MOHRI」として参加するなど、渋谷系界隈では知られた存在でした。
Aメロ、Bメロ、サビのどこを取っても歌メロとコードの動きが心地よい=メロディアスな曲で、まさにシャーデーの「Maureen」のリラクゼーション・エッセンスが振りかかっています。
さよならBaby Face/三原順子
現在は参院議員として活動する三原じゅん子(当時の表記は三原順子)が、1983年に発表したシカゴ録音のアルバム「Windy City~風都市~順子・イン・シカゴ」から。
セクシャルな低音の唱法がシティポップにうまく調和しています。
「Goodbye baby」の頭の「ン~」がポイント。
ベースでマイク・ポーカロが参加しています。
夜のフェリー・ボート/葡萄畑
1970年代に活躍したバンド。
大瀧詠一が目をかけていて、一部で「第2のはっぴいえんど」とも呼ばれていましたが、存在的には「和製ボンゾ・ドッグ・バンド」だったのではないかと思います。
10CCの「Silly Love」を徹底的にバカバカしく解釈した「がきデカ」の主題歌「恐怖のこまわり君」で注目されるも、その後活動休止。
2000年代に復活し、マイペースに活動を続けているようです。
といっても演奏の腕前はしっかりとしていて、それゆえに何をやってもコミックソングにはなりません。
この曲も、テレサ・テンのパロディのつもりで作ったようでありながら、アレンジや演奏が端正です。
もしかしたら、おふざけが足りないからデモ音源のまま未発表だったのかもしれません。
P.S.ダーリン/令多映子
1stアルバム「Taeko」(1984年)から、シティポップ・マニアには割と知られた存在かもしれない1曲「P.S.ダーリン」をご紹介。
和泉宏隆のピアノソロからスタート、渡辺直樹のベース、長谷部徹のドラムとあわさってグルーヴが形成されます。
ギターの土方隆行は、カッティングのみならず後半で熱いソロを聴かせてくれます。
なによりも、こうしたアグレッシブなプレイのなか、決して感情過多にならない令多映子のボーカルが楽曲のクールさを演出していて見事。
RAINBOW/工藤健司
ラジオのディレクターとして活動を開始したシンガー・ソングライターが1996年に発表した1stアルバム「MUSIC MAN」から。
杉真理や伊豆田洋之にも通ずるビートルズからの影響を昇華させたポップセンスが窺える90年代後半屈指の名盤ですが、「シティポップ冬の時代」の当時はまったく注目を浴びませんでした。
本作中、安部恭弘を踏襲したかのようなボーカルスタイルが冴える「RAINBOW」が、圧倒的なシティポップ度数の高さを示しています。
ベビーパールでさよなら/楠桂&大橋薫
双子のマンガ家姉妹・楠桂&大橋薫が発表した作品から。
音楽を「声優」や「アイドル」でジャンル分けしている中古CD販売店はありますが、「マンガ家」の棚を設けている店舗はほとんどない(「とらのあな」辺りならあるかもしれない)でしょう。
その意味でもシティポップ・マニアが手を伸ばさない領域ではないかと思われたのでピックアップしてみました。
モーニング・キッス/THE COMING SOON!
「モモコクラブ」の桃組出席番号1773番だったアイドル・姫乃樹リカが、「西邑理香」に改名して脱アイドルをはかったのちに結成したバンド「西邑理香 with COMING SOON!」のLAレコーディング作品から。
アルバムの中ではメロウな「時計を捨てて」のほうが知られているようですが、本命はこっち、「モーニング・キッス」。
最近は「姫乃樹リカ」に名前を戻して「THE COMING SOON!」と活動を再開し、この曲もリメイクされ、ライブでも披露されています。
FOLLOW WIND/AKEMI
1990年代初頭にデビューしたR&Bシンガー・AKEMIの2ndアルバム「SECOND WIND」(1991年)から。
曲:都志見隆・編曲:山川恵津子によるこの曲は、ボーカルのトーンコントロールに巧みさを感じさせます。
とくに「Hold me in follow wind」の「Hold」をウィスパー気味に歌うところが絶妙。
風の遊園地/村上圭寿
角松敏生プロデュース「VOCALAND 2」にも参加したシンガー・k.juこと村上圭寿が1995年に発表したセカンドシングルのリード曲。
TBS系「ブロードキャスター」のエンディングソングに使われたので耳にした人は多いはずですが、こうしたテイストが正当に評価されなかった時代ゆえか、埋もれた曲のひとつになってしまいました。
21階のソリチュード/慶田朱美
慶田朱美といえば、世間的には、テレビ版『ルパン三世~バイバイ・リバティー危機一髪!』のエンディングテーマ「エンドレス・トワイライト」を歌ったシンガーとして知られています。
シティ・ポップ界隈では、同曲がラー・バンドの「Perfumed garden」を明確に引用していると注目されました。
「21階のソリチュード」は、歌に若干ピッチのブレがあるものの、鷺巣詩郎のスティーリー・ダン/ドゥ―ビーズのエッセンスを加えた編曲によって、洗練された仕上がりになっています。
Just Feeling/北原理恵
「にっかつロマンポルノ」の女優として知られる北原理恵。
実は80年代前半に、同じくロマンポルノで人気があった寺島まゆみ・太田あや子とトリオ「スキャンティーズ」を結成し、並行してソロ歌手としても活動しています。
女優デビューの前に、ルイ・アームストロングを聴いてジャズに興味を持ったらしく(アサヒグラフ1983.2.18号)、その影響でジャズ風ポップスを歌っていました。
ここでは、NORIKIの「YOU NEED ME」に別の歌詞を当てた「Just Feeling」を紹介します。
「YOU NEED ME」は2020年代のシティポップ・ブームで注目された曲ですが、原曲よりアンニュイなこちらのバージョンは発掘されなかった様子。
野力奏一がキーボード、Eveが重層的なコーラスを務め、原曲のサウンドをキープしつつ、少し湿度が加わった世界観になっています。
Sugar Rain/吉野千代乃
1982年~83年にかけて、ヤマハのポプコンで4つの賞を受賞、86年にアルファからデビューしたシンガー。
2nd「SLOW DANCE」(1986年)の収録曲で、本盤自体がシティポップ・マニアにとっては定番中の定番といえるかもしれません。
ただ、吉野千代乃は世界的なシティポップ熱のなかでもさほど注目されませんでした。
シティポップのガイドブックでも「定番」「歌がうまいシンガー」といった素っ気ない紹介をされていて、真価が伝えられていない。そういう意味で隠れ名曲としました。
実際、本盤のCDは1,000円以下で売られているなど、不当なほど評価が低いのです。
しかしながら「Sugar Rain」「Sugar Rain」は、86年産のシティポップのなかでも屈指の名曲。
ミディアムグルーヴと流麗な歌メロが調和した至高の作品に仕上がっています。
シティポップ・ブームで大橋純子の魅力に出会った人にぜひ聴いてほしい一曲です。
恋のタイミング/五味美保
シンガー・五味美保の2ndアルバム「Miss Honey」(1990年)に収録された楽曲、アレンジ、ボーカルのすべてのバランスが取れた隠れ名曲。
コーラスの「ダウンタウンボ~イ、アップタウンガ~ル、アイラビュゥゥ~」が耳に残ります。
IN YOUR EYES/千恵美
後にしらさやえみと改名したシンガーが「千恵美」名義で発表したアルバム「C」(1995年)から(その後さらに変更し、現在の名義は「白鞘慧海」)。
しらさやえみ時代には、杉真理から提供された「Summer Kiss」がシティポップ・ファンには知られていますが、馬飼野康二がJimmy Johnson名義で提供した「IN YOUR EYES」も捨てがたい。
渡米してゴスペル方面へ向かい、洗礼を受けてクリスチャンになったそうで、現在はボイストレーナーとしても活動しています。
冬の増刊号/佐藤美樹
マンガ家・サトウサンペイの娘で、90年代に活躍したシンガー。
アルバムを2枚発表していますが、田中友紀子や浜本沙良ほどシティポップ方面に振り切っていなかったせいか、中古盤にプレミアも付いていません。
ここでは、代表作とされる「Birth〜金色の風〜」ではなく、もう1枚のアルバム「プライベート・カラーズ」から、作曲:羽場仁志・編曲:小西貴雄による「冬の増刊号」をご紹介します。
作編曲のコンビの力量だけでなく、プログラミングを松井寛ことや、元BLUEWの増崎孝司がギターを弾いていることで完成度はワンランク上に。
サビにややガールポップのテイストがあるものの、イントロやAメロはばっちりシティポップの音になっています。
Blue in Heart/安部純
1991年にデビューしたシンガー・ソングライター。
その後、作家活動がメインとなり、声優やアイドルに多数の楽曲を提供しています。
近年の代表作は東京女子流の「Don't Be Cruel」。
同時期にデビューした渡辺信平に比べると、まだまだ評価も定まっていませんが、伸びやかな高音で歌う80年代の男性シティポップ系シンガー・ソングライターの流れをくむ歌声と、洗練された楽曲のクオリティは瞠目すべき。
ここではデビューアルバム「ETERNAL COLORS」から、チャカ・カーン/AWBの「What'Cha Gonna Do for Me」を下敷きにした2曲目の「Blue in Heart」を紹介します。
Don't Be Afraid/久野かおり
シティポップ・ブームで「Adam & Eve 1989」が注目されたシンガー・ソングライター兼サックスプレイヤー・久野かおりのアルバム「Rosé」(1991年)から。
アルバム自体がシティポップの名盤ともいうべき出来栄えですが、なぜか他の作品に比べて過小評価されていて、「隠れ名盤」になりつつあります。
シャッフルビートに乗せた物憂げな曲調と歌声が見事です。
シューズ・ショップで聴いた歌/大塚純子
1986年にデビューしたシンガー・ソングライター・大塚純子が1990年に発表したアルバム「HURTS」から、雨の音のSEからスタートする雨宿りソングを紹介しましょう。
「シューズ・ショップで懐かしい歌が流れていた」というシチュエーション。
その懐かしい歌は「誰が歌ってたか知らない」。
曲調から察するにマイケル・ジャクソンの「Rock with You」では?そんなメタな聴き方もできる曲です。
After Rain Afternoon/美保純
タレントとしてはあまりにも有名な美保純も、歌手として活動していたことはさほど知られていません。
ここでは、昨年にCD化もされた「プライベートシアター」から、斎藤誠作曲によるハーフタイム・シャッフルをご紹介。
イメージ通りのアンニュイなボーカルを披露しています。
ウィークエンド・レディ/島田歌穂
アルバム「I'm just a woman」(1991年)に収録の都志見隆の傑作「ウィークエンド・レディ」。
ムーディーな「After You've Gone」の引用からスタート、ミディアム・メロウグルーヴへと展開していきます。
サビの木戸やすひろ・比山貴咏史・広谷順子によるコーラスも秀逸。楽曲の心地よさを何倍にもアップさせています。
トワイライト・トレイン/小山茉美
アニメ「Dr.スランプ アラレちゃん」のアラレちゃん役を務めた声優・小山茉美の1stアルバム「ゆ・れ・て mami」(1982年)から、曲、アレンジ、歌詞、歌のどれをとってもすばらしい「トワイライト・トレイン」を。
なめらかな歌声によって、Bメロからの展開もしっとりさせすぎずなバランスで聴きごたえは抜群。
抑えたアルトボイスで楽曲のAOR度数を高めています。
願いを掛けましょう/山本京子
1990年にアイドルグループ「Lip's」でデビュー、倍音成分多めのボーカルと安定したピッチで「Lip's」の歌を支えたシンガー・山本京子。
「Lip's」解散後には、大滝裕子による提供曲「CATCH! Take hold of love」収録のミニアルバムをリリースしています。
当時、「CATCH!」をラジオで聴いて、イントロのフェイクだけで「うまい!」と感銘を受けて即買いに走ったものです。
その後の山本京子は、アメリカでフルアルバム「IN SENSITIVE」を制作。
ベースでネイザン・イースト、キーボードでパトリース・ラッシェンが参加と、これだけでもシティポップ・ファンは色めき立つこと間違いなしの作品から、イントロのギター・カッティングと絡みつくベースが極上のグルーヴを奏でる一曲を紹介しましょう。
ハイトーンボイスのブームに傾きつつあった時代にあって、山本京子はウィスパーを駆使したボーカルを披露。
当時はまったく注目されなかった作品ながら、今となっては歌唱の選択は誤っていなかったと思えます。
結果的に「CATCH!」よりエバーグリーンな音になったのだから。
なお、作曲はバート・バカラック調の曲が得意なシンガー・ソングライター・高梨めぐみ(当時の名義は「いしいめぐみ」)が担当しています。
時がおしえてくれた/MIEKO
1982年頃から青木美恵子の名義で新田恵利や早見優、設楽りさ子らに楽曲提供しつつ、1990年にアルバム「彼女の一番贅沢な日」でパイオニアLDCよりメジャーデビューしたシンガー・ソングライター。
ガールポップ全盛期において、大人っぽい歌を聴かせてくれた歌い手のひとりでした。
ここではアルバム「永遠のひとかけら」(1992年)から、イントロからアシッドジャズの匂いが漂ってくる「時がおしえてくれた」をご紹介。
ギター:芳野藤丸、パーカッション:斉藤ノヴといったベテラン勢をバックに、安定した歌を聴かせてくれます。
イントロと間奏をセピア色に彩るエリック・ミヤシロのトランペットも秀逸。
Twilight CittY/CittY
2010年代のシティポップの中で隠れた名曲と言えばこれではないでしょうか。
CittYは、シュガー・ベイブやはっぴいえんどにインスパイアされた楽曲を発表しているバンド。「ザ・なつやすみバンド」や「ウワノソラ」らと同系統ともいえますが、その中でもっとも過小評価されている気がします。
2014年のアルバム「流線形'14」から、80年代シティポップを踏襲した「Twilight CittY」を紹介しましょう。
カッティングでスタートし、サビでブリージーなコーラス、後半の吉田美奈子オマージュの「Twilight」連呼、ラストのEPO風メロディまで、味わって聴ける要素がたくさん。
楓 - kaede -/emily hashimoto
渋谷系シンガー・ソングライターのemily hashimotoが、2023年に配信限定でリリースした楽曲。
シティポップのファンは渋谷系に距離を置いているので、その界隈からシティポップ的な名作が生まれても無視されがち。
この曲も無視されているかもしれないので、ここで紹介します。
「パラッパ」と印象的なハミングからスタート。
ギターが単音ミュートカッティングからカッティングへ移行するバックに合わせ、歌メロが少しずつ起伏を付けて展開します。
サビのユニゾンコーラスとシンセのサイン波による秋風感、間奏のギターソロとそれに重なるコーラスで切なさを演出。
間違いなくこれはシティポップでしょう。
おわりに
今回は、シティポップの隠れた名曲を紹介しました。
気になる曲があればこのページをブックマークに追加して、あとでゆっくりお聴きください。